近年、豪雨による水害の被害に関するニュースを見る機会が多くなった様に思います。

こちらの応用地質株式会社様が掲載されているコラムでは、過去数十年の豪雨災害に関する統計データを基に豪雨の頻発化や被害規模が激甚化している傾向がある事を示されています。

やはり私達が水害に関する事柄を見る機会が増えているのは事実であり、身近な災害であると言えます。

災害から身を守る為に

災害から身を守る方法として、まずは避難所の場所や避難方法について知っておく事が大切です。

避難所についてはお住いの地域のハザードマップにて確認する事が出来ます。浸水深の浅い・深い地域の情報も記載されていますのでご覧下さい。(大阪市淀川区浸水ハザードマップはこちら)

次に避難方法ですが「垂直避難」と「水平避難」の2種類があります。「垂直避難」とは、災害時において建物の高層へ避難する事を言い、「水平避難」とは出来るだけ危険な場所から離れて避難所へ避難する事を言います。

水害においては、浸水深が浅い区域や悪天候の中、外へ避難する事が危険である事から「水平避難」より「垂直避難」が避難方法として有効となる場合があります。

(避難方法の選択は状況に応じて変わります。こちらで詳しく記載されております。)

しかしながら実際に水害によって数メートルの浸水が起こった時に建物のどの部分まで水が押し寄せるのかといったイメージは中々湧きません。そこで本記事では、公開されている建物の3Dデータと浸水想定区域データを組み合わせて、建物の浸水状況を可視化する方法を整理したいと思います。

3D都市モデルを用いた浸水状況のシミュレーション

1.オープンデータのダウンロード

使用するデータは、以前こちらでもご紹介したオープンデータとなります。

今回は国土数値情報だけでなく、PLATEAUや兵庫県が公開しているデータも使用します。

・3D都市モデル・・・PLATEAUオープンデータポータルサイト(G空間情報センター)

・浸水想定区域データ・・・兵庫県オープンデータカタログページ

・避難所データ・・・国土数値情報 避難施設データ

それでは早速見てみましょう。

こちらが上記3つのデータを重ねたマップとなります。3D都市モデルはLOD1を使用しました。青色部は色が濃くなるほど浸水深が深くなることを示しています。比較的浸水深の浅い場所に避難施設が存在している事が分かります。

しかしながら、これでは建物の浸水状況が一目で把握できません。そこでマップのシーン変換を行い、これらのデータを3Dで表示します。

※以下に示す3Dデータの一部は、ダウンロードしたデータに基づいた暫定的な標高を付与しております。実際とは異なる場合がありますのでご了承下さい。

2.マップのシーン変換

表示タブ→変換→ローカルシーンに変換を選択します。

3.レイヤーの立ち上げ

2Dレイヤーを選択→表示設定→タイプ→最大高度→高さが入力されているフィールドを選択します。また地盤高を考慮したい為、コンテンツウインドウにある、「標高サーフェス」にチェックを入れます。

設定が完了するとこの様に各レイヤーが3Dで表示され、建物の浸水状況が把握できるようになりました。

避難所の敷地内は周りと比較すると浸水深が浅くなっています。避難所の南側にある戸建て住宅の半数以上において建物全体が浸水している一方、避難所の北側にはハイツや倉庫など比較的高層な建物がある為、建物の半分程度しか浸水していないことが分かります。

次に、この付近の地盤高を地理院地図の断面図ツールを用いて見てみましょう。※画像の一部を加工しております。

この断面図の様に、避難所付近から南側の地盤高は、北側と比較して約0.5m~1.0m程度低い事が分かります。以上の事から、避難所よりも南側に住んでいれば避難所へ「水平避難」を、北側へ住んでいれば「垂直避難」もしくは余裕があれば避難所へ「水平避難」を行うのが適切な避難方法だと言えます。

いかがだったでしょうか。実はこの「垂直避難」の可否を可視化するという取り組みは実際に福島県郡山市の3D都市モデル活用として行われています。(詳しくはこちら)

その他にも3D都市モデルを用いた数々の実証実験が行われており、特に防災面において活用が期待されています。本記事でご紹介した内容は特にArcGIS Proのエクステンションを必要としませんので、ご興味があればお試しください。

(水本)